平成30年(2018年)、8月31日に、厚生労働省から各自治体宛に
「HACCPに沿った衛生管理の制度化に関するQ&A」についてのお知らせがありました。
今回から数回に分けて、Q&Aのポイントをまとめてみたいと思います。
Q1. HACCPに沿った衛生管理の制度化により、現在の衛生管理はどのように変わるのか?また何か新しい設備を設けなければならないのか?
★ポイント
1. 現状、実施している衛生管理を手順として定め、記録として残すことが求められる。
2. 新しい設備を設けることは求められていない。
【補足】
・小規模事業者の方々については、厚生労働省から発行されている「手引書」を参考にして、
温度管理や手洗い手順などのマニュアルを作成することや、記録を残すことが求められる。
※手引書(取り組み方を記載した手順書)
・自主的に新設備を設けた事業者は金融上の支援措置を受けることが可能。
※食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法
Q2. 以前は「基準A」「基準B」という名称で呼ばれていたものが、現在は「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」という名称に変更になっているが、事業者が取り組むべき内容に違いはあるのか?
★ポイント
取り組むべき内容に変更はない。
【補足】
・名称変更の理由は「内容が分かりにくい」などの指摘があったため。
Q3. どのような事業者が「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象となるのか?また小規模事業者とは、どの程度の規模を指すのか?
★ポイント
明確な基準は「食品衛生管理に関する技術検討会」で検討中である。
【補足】
・「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象となる事業者とは
1. 小規模な製造・加工事業者
2. 併設された店舗で小売販売のみを目的とした菓子や豆腐などを製造・加工する事業者
※菓子、食肉、魚介類、豆腐の製造販売等
3. 提供する食品の種類が多く、変更が頻繁な飲食店等の業種
※飲食店、給食施設、惣菜や弁当の調理等
4. 低温保存が必要な包装食品の販売等、一般衛生管理のみの対応で、管理が可能な業種
・厚生労働省のHPで公表している小規模事業者の基準
※クリックすると拡大します。
・食品衛生管理に関する技術検討会で検討中の小規模事業者の基準
※クリックすると拡大します。
Q4. 缶詰やインスタントラーメンなどしか販売していない雑貨店のような業種も「HACCPに沿った衛生管理」の対象となるのか?
★ポイント
現時点では「対象とならない」方向で検討している。
【補足】
・缶詰やインスタントラーメンは常温保存が可能で賞味期限が長いことから、
食中毒などのリスクが低いと考えられるため、雑貨店等にまで
HACCPに沿った衛生管理を求める必要はないという意見です。
Q5. 「HACCPに沿った衛生管理」に関する制度改正は、いつから取り組まなければならないのか?
★ポイント
法律の公布日(平成30年6月13日)から起算して「2年以内」に施行
※施行:公布された法令の効力を現実に発生させること
【補足】
・施工後、1年間の経過措置期間を設けていて、合計で3年程度の準備期間となっている。
・具体的な施行日については、今後の政令で定める事となっている。
※以上 厚生労働省資料参考
HACCPに沿った衛生管理の制度化に関するQ&Aの内容まとめ<2> へ続く
2018.9.8 mint